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蜜刻に揺れて
第3章 leave behind
ハンドルに肘を被せて反省する静をじっと見つめる。

まだ少し瞼が腫れぼったい静はこれ以上の謝罪をどう表すか思案しているようにも見える。

「静」

「うん?何?」

許してもらえるとでも思ったのか、妙に明るい顔で振り返る。

「頑張るんだぞ」

「うん、ありがと!今なら、出来そうな気がするよ」

ちょいちょいと指先だけで呼び寄せ、無防備に伸ばされた静の首筋に唇を寄せるとキツめに吸い上げた。

「ご褒美、じゃあな」

首筋を押さえて目を丸くしている静。

「俺、これから仕事なの、さっさと降りる」

「はい…」

素直に助手席から降りると、開いた窓の向こうで、放心したまま手を振る静。

「ちゃんと報告しろよ?」

「あ、うん…」

ふっと鼻で笑うと竜はアクセルを踏み、回れ右をした。


ふらふらとアパートに戻り、玄関にある姿見の鏡に髪を掻き上げて映すと、そこにはくっきりと紅い花が咲いていた。

今更、そこが熱を孕んだ様に熱くて、静はその場にへたり込んだ。

「も…何なの…遊ばないでよね…」

それでも、これでもう会うこともないと思うと安心感と妙な寂しさを抱えていた。
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