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蜜刻に揺れて
第4章 Unclear delineation
美和子の目の前にミルクティーの缶が置かれる。

視線を右斜め上にあげると、そこには静がぎこちなく笑っていた。

「あの、これは…?」

「資料作成のお礼、今日あの資料で営業先で褒められたの、植田さんのお陰だから」

「そんな…当たり前の仕事をしただけですから…」

「いつも、本当助かってます」

ぺこっと頭を下げた静はそのまま席に着いて、メールチェックを始めた。

竜に言われた言葉。

居るべきところに居るのだと。

そう言われて周りを見れば、こんな今更の新人営業にみんな力を貸してくれている。

それに応える事もしないで目を背けてばかりだった。

営業の仕事を一から教えてくれる健作も、的確なフォローをしてくれる航平も、オフィススキルの高い美和子も…自分の恵まれた立場を知れば知る程頭が下がった。

「葉山さん、3番に外線、S社の太田さんからです」

「ありがとうございます、はい、葉山です、はい、はい…」

営業だって対、人だ。

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