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蜜刻に揺れて
第6章 Ambiguous Peony
「俺って軽い?」

「紙風船並みに軽いな」

「俺って薄情?」

「向こうが透けて見えるくらいにな」

「浩っ!」

ソファーに横になって沈み込んでいた竜は起き上がって浩一郎を睨んだ。

悪気の欠片もなく満面の笑みを雑誌の横から覗かせる浩一郎。

ストレート過ぎるほどに真っ直ぐな浩一郎とは、9secondが出来上がる前からの知り合いだった。

間には啓介が介していて広く浅い付き合い方の浩一郎は竜にとってとても居心地の良い友人だった。

裏も表もない浩一郎に問い掛けたこと自体が間違いだった。

「何ー?いつぞやの家庭的が売りのオンナに愛想尽かされた?」

ワクワクした表情を前面に押し出してからかう気満々だった。

「違うから」

「違うオンナ?相変わらず来るもの拒まずかよ」

「去りそうなのを追いかけてるの」

「はぁ?お前が?そりゃまた貴重なオンナだな」

「本当…わけわかんねー…」

竜は再度ソファーに沈み込んだ。

冷たい革張りにうつ伏せて、ちらりと浩一郎を確認する。

「薄情で軽くて?あとは?」

浩一郎はその続きの言葉を聞き出そうと茶化したが、竜は唇を尖らせて目を瞑った。
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