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蜜刻に揺れて
第6章 Ambiguous Peony
ぎりっと静の胸は痛む。
誰を思い浮かべたのだろう。
その脳裏に浮かんだのは…一体誰なのか。
この胸の痛みは、感じても許される痛みだろうか。
撮影はその後も順調に進んだ。
予定時刻を大幅に前倒しして終わったことにスタッフからは歓声が上がった程だ。
静は役目を終えた花材たちをバケツに戻した。
冷たい水に浸けた後、コットンと紙に包んでスタッフらに配った。
「葉山さん、俺も貰えるかな?」
啓介と共にやって来たのは撥春だった。
「何が良いかなぁ」
「プレゼントだろ?彼女に」
啓介に突かれて撥春は破顔した笑みを浮かべた。
「どんな方ですか?」
「可愛いよ、控えめで優しくて儚げで…」
「撥春、惚気すぎ」
三人で笑って、静は芍薬を花束にした。
「芍薬の花言葉は恥じらい・謙遜なんです」
撥春はそれを聞いて芍薬を見つめて笑顔を浮かべた。
きっとその脳裏に浮かぶのはその彼女の事だとわかった。
「打ち上げ、行きますよね?」
啓介に向き直られて、静は思わず頷いた。
「皆さん、行かれるんですよね?」
「うん、まあ、恒例だしね、撥春は?」
「勿論」
静は二人を先に送り出し、片付けを終えると会社に直帰の連絡を入れた。
誰を思い浮かべたのだろう。
その脳裏に浮かんだのは…一体誰なのか。
この胸の痛みは、感じても許される痛みだろうか。
撮影はその後も順調に進んだ。
予定時刻を大幅に前倒しして終わったことにスタッフからは歓声が上がった程だ。
静は役目を終えた花材たちをバケツに戻した。
冷たい水に浸けた後、コットンと紙に包んでスタッフらに配った。
「葉山さん、俺も貰えるかな?」
啓介と共にやって来たのは撥春だった。
「何が良いかなぁ」
「プレゼントだろ?彼女に」
啓介に突かれて撥春は破顔した笑みを浮かべた。
「どんな方ですか?」
「可愛いよ、控えめで優しくて儚げで…」
「撥春、惚気すぎ」
三人で笑って、静は芍薬を花束にした。
「芍薬の花言葉は恥じらい・謙遜なんです」
撥春はそれを聞いて芍薬を見つめて笑顔を浮かべた。
きっとその脳裏に浮かぶのはその彼女の事だとわかった。
「打ち上げ、行きますよね?」
啓介に向き直られて、静は思わず頷いた。
「皆さん、行かれるんですよね?」
「うん、まあ、恒例だしね、撥春は?」
「勿論」
静は二人を先に送り出し、片付けを終えると会社に直帰の連絡を入れた。