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蜜刻に揺れて
第7章 callupme
「何で?今フリーだろ?」

「それでも、雅希とは無理、私可愛げないの」

きっぱり言い放つ静に、雅希はくっくっと嗤う。

「そんなに気にしてた?」

その嫌味な言い方にかっと頭に血がのぼる。

何かガツンと言い返したいのに、言い返せば同じ土俵に上がることになるのも口惜しい。

「まぁいいじゃん、とりあえずお前ん家行こうぜ」

タクシーを帰らせて、静の腕を取って歩き出す。

「雅希!やだっ!」

「やだとか言える様になったじゃん」

酔っ払いの雅希には何を言っても響かないらしい。

「雅希…っ!いっ…」

腕が振り解かれる。

それをしたのは…

「たろ…う?」

「''たろう''?誰だよ?何だよ、テメー」

「いやだって言ってんじゃん」

「ああ?」

「あんまり騒ぐとケーサツ呼ばれるけど?」

静のアパートの窓から覗く人影があった。

「静は俺のだから、手出さないでくれる?」

「な、静はフリーだって…っ!!」

「昨日まではな」

トンッと肩を押すと雅希は言葉にならない悪態を着いて、脱兎の如くその場から消えていった。

「たろー…あの…ありがと…」

竜は背中を向けたままで、どんな表情をしているか窺い知れない。

摑まれた腕がするりと抜け落ちるとたまらない淋しさが静を襲った。


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