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第46章 波乱のミュージックスタイル②

｢大丈夫かしら……真理くん｣
｢うん……｣

　美名と由清はスタジオの隅で他のミュージシャンがリハをするのを見ながら待機していた。
　平井 智輝(ひらい ともき)というベテランのシンガーが新曲のバラードをリハーサルで滔々と歌い上げている。
　歌唱力も素晴らしくて良い声だが、寝不足の美名には最適な子守唄だった。
　壁に凭れながら瞼が重くなり舟を漕いでしまう。

｢美名ちゃんも少し寝てきたら？これから長丁場だし｣

　由清に言われ、美名は欠伸をしながら頷く。

｢うん……ごめんね……ほんの少しだけ寝てくるね｣

　由清が美名が楽屋の方へと行くのを見守っていると、高い声に呼ばれて振り向く。
　其処に居たのは西野だった。