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eyes to me~ 私を見て
第46章 波乱のミュージックスタイル②
『どうした……そんな顔をして』
優しい指が頬を撫でる。
その指を美名は握り、口づけた。
夢でも良い……
今は、こうして大好きな人を感じていたい……
『美名……』
顎に手をかけられて、綾波の顔が近付いて来た。
サラリと髪が触れた時、目を閉じたが、唇に触れる感覚が無く、美名は再び目を開ける。
綾波は美名から離れて、空間に浮いて立っていた。
『剛さん……?』
『美名……俺は……お前を抱きしめる資格がない』
『な……何故?剛さんは、私を命懸けで守ってくれたわ!』
綾波は悲しげな瞳をして首を振る。
『な……何故そんな事を言うの?私を離さない、て言ったじゃない!』
立ち上がり手を伸ばそうとすると、またグラリと揺れてしまい、ソファにしがみついた。
綾波はだんだん遠くなる。
『待って……待って!そんなの許さない!
……好きなの……愛してるの……!剛さん――っ!』
綾波の姿が点まで小さくなり、忽然と消えて美名は泣き崩れた。