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eyes to me~ 私を見て
第46章 波乱のミュージックスタイル②
「綾波君が、美名ちゃんを動揺させたくなくて黙ってたのよ……」
志村が目をふせて小さく言った。
「……美名さん、大丈夫ですか?顔色が」
「美名ちゃん」
堺と由清が、震えが止まらない美名に近付くが、反射的に美名は後退り叫ぶ。
「――来ない……で――!」
「美名ちゃんっ!?」
志村が顔色を変えて駆け寄る。
美名はへたりこみ頭を抱えた。
あの夜の出来事が、フラッシュバックみたいに甦る。
ここがテレビ局の楽屋だという事さえ分からなくなる位に、意識が混同してしまう。
心配そうにこちらを見る由清が、翔大の姿にすりかわり、こちらに近付いてくる。
『美名……俺の物になるんだ……』
「やだ……やだ!しょう君……なんでっ……」
美名はよろけながら、壁伝いに逃げた。
やがて周りに居る皆の姿がぼやけて、何も聴こえなくなると、目の前にうすら笑う聖恵の姿が現れた。
『美名さん……本当にあなたっておめでたいのね……
私は最初から友達になろうなんて……思ってなかったんだから……うふふ……ハハハハハハ!』
胸が潰れる様に痛み、喉が千切れる感覚が走った。