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eyes to me~ 私を見て
第47章 波乱のミュージックスタイル③
「はい、どうぞ」
未菜はニッコリ笑って、強引に手を取るとその中に飴を握らせた。
美名は、手の中の小さな袋を呆然と見つめ、やっとの思いで
「ありがとう……」
と言うが、先程の志村の言葉が頭に響く。
『西野未菜の意地の悪さは業界では有名よ』
改めて西野の可愛らしく整った顔形を見る。美名にはその中に悪どい物を見出だす事が出来ない。
「それね、良く声を使う人用の飴なのよ?
……あ、私、大阪のオバチャンじゃないからね?アハハ」
屈託なく笑う西野につられて美名も笑ってしまうが、胸の中は複雑だった。
東京に出てきて翔大に出会い別れた後、色んな男性と深い仲にはなったが、皆何かしら嘘をついていた。
芸能関係者と偽ったり、或いは他にも恋人が居たり……
(私には、そういう人を見抜くアンテナが備わって居ないのかもしれない……)