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eyes to me~ 私を見て
第47章 波乱のミュージックスタイル③
卵形の加湿器から象の鼻の様に伸びた太い管を握り、口を大きく開けて宛てがう。
シュワシュワとという音と共に、白い蒸気が天井に向かい立ち上っていく。
リハーサルで歌おうとした時から突然声が出なくなってしまった美名は、髑髏川が貸してくれた加湿器で喉のケアをしていた。
真理と由清は、どう声を掛けて良いのか分からずに、ひたすら喉の加湿をする美名の背中を見つめていた。
そのころ志村とペコと堺は自販機の休憩コーナーで難しい顔を付き合わせていた。
「はあ……まさか、こんな事になるなんて……」
志村は頭を抱えている。
「志村さんらしくないわ。諦めたらダメよ……
何か方法を考えましょうよ」
ペコは腕を組みながらコーヒーを啜る。
「方法……てまさか」
堺が優しい目元を曇らせた。