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eyes to me~ 私を見て
第49章 鮮烈なデビュー②
「美名ちゃん!」
「美名ちゃん――!大丈夫?」
志村を暗黒がバーンと大きな身体で押し退けて美名の手を取った。
志村は弾みで壁に頭をぶつけ、白目を剥いて倒れてしまう。
「志村さん!」
「おっさんも大丈夫かよ――!」
由清と真理が駆け寄り抱き起こす。
美名は、胸を押さえて微かに笑った。
「あ……りがとう……皆さん……」
震えてはいるが、声を出すのは問題無さそうに見える。
「ちょっと見せて……」
瞬は美名の喉やリンパに触れてみた。
「うん……大丈夫そうだね……喉は……」
「うん……多分……喉は……うっ」
美名は、突然しゃくりあげた。
「美名ちゃん」
髑髏川や狐面や瞬が痛ましい眼差しを向ける。
美名は、肩を震わせて涙を溢れさせた。
何が起きても負けないーーそう決めて今日のステージをやり上げるつもりだったのに、動揺してパニックになってしまった。
恵まれたデビューをお膳立てされていたのに、失態を晒した自分が許せない。