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eyes to me~ 私を見て
第51章 Kiss in the moonlight

ほの暗い灯りの中で、ベッドに上半身を起こす綾波が見えた。瞬間、美名の身体中が喜びに震える。
一歩踏み出そうとした時、ベッドのカーテンに、もう一人の人の姿が浮き上がっているのに気付く。
細い肩に長い髪……
高くもなく低くもない、優しげな笑いを溢した話声がする。
(誰――?)
美名は、何故か声をかけてはいけない様な気がしてその場に立ち尽くした。
綾波も静かに笑っている。その瞳には、美名が今まで見たことがない思慕の色が浮かんでいた。
ーーまるで、手の届かない憧れの対象を見つめる様な……
突然、鼻がむずむずして、堪えきれずくしゃみをしてしまった。
(――しまった……)
口を押さえて、慌ててその場を去ろうとすると、柔らかい声が引き留めた。
「今晩は……あなた、美名さんね?」

