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eyes to me~ 私を見て
第51章 Kiss in the moonlight

恐る恐る振り向くと、小柄な歳上と思われる女性が笑って手招きをした。
綾波が、驚きと呆れた表情半分でこちらを見ている。
「……そんな所で何を突っ立ってる……こっちへ来い」
「で……でも」
美名はすっかり狼狽えて、何故か気後れしてしまっていた。
「美名さん、こっちへいらっしゃいな」
気さくに声をかけてくる女性が手を伸ばした時、美名は思わず後ずさった。
「わ……私……帰ります」
「え……!?」
女性は目を真ん丸にした。
その目を直視出来ず、顔を背けて走ろうとした時、力強い腕が目の前に現れて扉を掴んだ。
耳元に熱い息がかかりゾワリとして、美名の好きな薫りが鼻腔を擽った。
「お前な……怪我人に無茶させてんじゃねえよ……つっ……」
綾波が、ベッドから飛び降りて美名の行く手を塞いだのだ。
(いけない……剛さんは、大きな怪我をしてるのに! )
「剛さ……」
美名が振り返ると、綾波の身体が重くのしかかってきた。

