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eyes to me~ 私を見て
第51章 Kiss in the moonlight

長い指が結わえた髪に触れて、真剣な瞳が近付いてきて思わず目を瞑った時、低い声が耳元で響く。
「菊野さん……は、母だ」
キスが来るのかと思い身構えていた美名は、半分拍子抜けだったが、もう半分は驚きで目を見開いた。
「お母……さま?」
綾波が入院してから何度か電話で話したが、まさかあの女性がその母親だとは。
母親にしては若いのが気になり、美名は言葉を濁した。
「す……凄くお若いけど……」
綾波は笑いながら美名の髪を指で弄ぶ。
「菊野さんは童顔だしな……それに、実際若いのさ。……血の繋がりが無いんだ」
「えっ?」
「菊野さんは……西本祐樹の実の母親さ……俺は養子だ」
撃ち抜かれた様な衝撃に、美名は口をあんぐりと開けた。

