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eyes to me~ 私を見て
第2章 歌姫は獣と出逢う
「おい、荷物はこれだけか。走るぞ!」

 眼鏡の男は、ギターケースをひょいと抱えて美名の腕を掴んで走り出した。

「――待て!女を返せ!」

 スカウトマンの叫び声が遠くから聞こえる。

 しばらく走ると、パーキングに停められたBMWの後部席が開いた。
 男は美名とギターを乱暴に押し込めて助手席に乗る。

「マンションへ向かってくれ」

 運転手は無言で頷き、車を発進させた。

「あの……!何故こんな事を!?あの人は私をスカウトしてくれたんです……
 夢を叶えるチャンスだったのに……!」

 美名は後部席から男に喚いた。
 男はくっくっと笑う。
 その冷たい笑顔がミラーに映っていた。

「あの男はな、AVのスカウトなのさ」
「えっ……」
「業界じゃ悪名高い奴だぞ。目をつけられたら身体がボロボロになるまで抱かれて捨てられる……
 AVの事務所もピンキリでちゃんとした所もあるが奴の『Gシネマ』はダメだ」

 美名は身体の力が抜けて、へなへなとシートに崩れた。

「そんな……」



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