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eyes to me~ 私を見て
第2章 歌姫は獣と出逢う
「お前、名前は」

 男が低い声で訊ねる。
 ミラー越しに鋭く見つめられて痛いくらいだった。

「灰吹……美名(はいぶき ひめ)……美しい名と書いて……ひめ……です」

 しゃくり上げながら何とか答えると男は鼻で笑う。

「ふん。とんだお姫様だな……電話の話が聞こえたが、今まで散々男に騙されたらしいな」
「……聞いてたの?」
「お前には学習能力が無いのか?そんなお人好しが歌手を目指すなんて、無謀もいいところだな」

 ズケズケした物言いに猛烈に腹が立つ。

「何なんですか!いきなり拐ってこんな……何が目的なの!」

 男が眼鏡を外すと、その瞳が澄んでいてドキリとした。

「俺は綾波 剛(あやなみ つよし)。
 お前を、とびきりの歌姫にしてやる」

 美名は、その言葉に耳を疑った。

「言っとくが、遊びじゃないからな?成功したいなら、俺の言う通りにしろ」
「……あ、あの……」

 綾波のミラー越しの瞳が一瞬ギラついた。

「泣き顔もいいが……そういう表情もヤバいな」
「!?」

 そういう表情って?
 美名は思わず自分の顔に手で触れた。

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