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eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

志村は時計を見ると、綾波の肩をポンと叩く。
「そろそろ会見の間に向かわないと……ね。
岸さん達も到着するし……綾波くん、この話はまた後で」
綾波は虚ろに空を見つめるだけだった。
志村はやれやれ、と肩を竦めて電話をかける。
静かな駐車場に、真理のポケットの中のスマホの着メロが鳴り響き、真理は吃驚して美名を抱き締めたまま声を上げた。
「うわああ何だよ」
美名もハッと我に返り、真理から離れて涙を拭い乱れた髪を直す。
まだ腕の中に抱きしめていたかった真理は名残惜しさを感じながら、電話に出た。

