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eyes to me~ 私を見て
第55章 独りぼっちの歌姫

智也が口を挟む。
『急に申し訳ない……実は、Dream adventureでもう一組プロデュースするバンドがあって……』
美名たちは、志村と智也が目配せし合うのに気付いた。だが、何をどう追及したところで綾波が帰らない事には変わらないのだろう。
美名は絶望的な寂しさを感じながら黙って智也の話を聞いていた。
『"星の王子"という若いバンドなんだが……』
『ああ、知ってます……高校生の時にインディーズデビューして、色んなフェスに引っ張りだこの若手ですよね』
由清が手を叩いて言う。
『ほう、ご存知でしたか。……そうなんです。
彼らはこの間こちらに移籍しました。
で……彼らを担当するマネージャーが急病でしてね……
その間ほったらかしにする訳にいかないので、綾波さんにピンチヒッターを頼んだんです』
『へええ……まあ、別に俺は奴がこのまま戻らなくても構わんけど!なーんてなっハハハ』
真理の冗談とも本気ともつかぬ軽口に美名は蒼白になる。

