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eyes to me~ 私を見て
第56章 さよなら、私の

「も……もうっ!」
『美名……諦めろ』
身を捩る美名を、その甘い眼差しという柔らかい拘束でがんじがらめにすると、顎にそっと手をかけてキスをする。
目を閉じて、綾波の首に腕を回そうとした時、聞き覚えのある大きな声がして一気に現実に引き戻された。
「美名――!おっはよ――さん!お前の王子様の真理が迎えに来てやったぞ――!」
「真理くんっ!そんな大声、近所迷惑よ――!」
「アウチッ……オッサン!だから事ある毎に尻を殴るのは止めろって何度も言わせんな――っ」
「オッサン言うんじゃない――!」
「ギャア!殴るなよっ痛てえってば――!」
「二人とも静かに――!」
どうやら、ドアの外で志村と真理と由清が騒いでいるらしい。
飛び起きるとスマホが膝に落ちる。
液晶画面にくっきりと唇の痕が付いていた。
夢のキスの正体が何なのか判明して美名は苦笑するが、時間を見て頭が真っ白になる。
「きゃあ――!7時っ?大変!」

