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eyes to me~ 私を見て
第56章 さよなら、私の

絶句する増本に、秘書はポケットからハンカチを出して渡した。
「血が出ています……」
ハンカチで額に触れると、紅い色で染まる。
その紅は、彼女が散らした純潔の色を思わせた。
増本の喉の奥から嗚咽が込み上げる。
「貴方が泣かないで下さい……
やり方は乱暴でしたけど、社長も今後悪いようにはしない筈です……
彼女は部屋の奥に居ます……
貴方を呼んでるんです……行ってあげて下さい」
「俺……を?」
会うのが怖いと思った。
傷ついた彼女を直視出来るのか。
自分の気が狂ってしまうのではないか。
こんなに彼女を愛し始めていた事に今気付くとは、何て腑抜け野郎なんだ。
もう、遅いのに――
「血が出ています……」
ハンカチで額に触れると、紅い色で染まる。
その紅は、彼女が散らした純潔の色を思わせた。
増本の喉の奥から嗚咽が込み上げる。
「貴方が泣かないで下さい……
やり方は乱暴でしたけど、社長も今後悪いようにはしない筈です……
彼女は部屋の奥に居ます……
貴方を呼んでるんです……行ってあげて下さい」
「俺……を?」
会うのが怖いと思った。
傷ついた彼女を直視出来るのか。
自分の気が狂ってしまうのではないか。
こんなに彼女を愛し始めていた事に今気付くとは、何て腑抜け野郎なんだ。
もう、遅いのに――

