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第57章 さよなら、私の②

　美名の鼻唄と共に、良い匂いが漂ってくる。
　綾波は退院した途端に美名に急に冷たくなり、そして何処かへ行ったまま戻らない。
　星の王子とかいうバンドの臨時マネージャーをしに出張、という岸智也と志村の説明を、真理は信用していなかった。
　美名や由清も同じだろう。
　だから、うちひしがれていた美名が、今日いきなり元気を取り戻していたのには驚いた。
　何がきっかけで元気になったのか、まったく分からない。
　どんな事をしても自分が美名を元気にしてやる、と気を張っていた真理は、美名の回復が嬉しい反面、寂しさを感じていた。