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eyes to me~ 私を見て
第57章 さよなら、私の②

「……どう、して?」
美名はへなへなとその場に座り込む。
一体、いつからこんな事に?
志村や岸智也に聞けば、綾波と連絡は取れるのかも知れない。
けれど、綾波が連絡を取るのを望んで居ないとしたら――?
「剛……さん……何故」
先程まで高揚していたときめく気持ちは一気に淀んだ灰色に塗り替えられ、胸の高鳴りは不安な痛みに変わる。
彼の態度は、演技では無く本心だったのだろうか。
『俺が今愛しているのはお前だ』
『真理に乗り換えるならそれでも構わん』
綾波の言葉が頭の中に浮かんでは消えて、美名を混乱させる。
「……何故?何故?……分からない、分からないよ……っ」
涙声を上げてしまうと、真理に聞こえたらしく、ドアがノックされた。

