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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

マンションの前に白い車が停まった。
クラクションと共に、増本が出てくる。
美名が危なっかしい足取りでエントランスを降りると転びそうになった。
増本が支えるのを見て、綾波は思わず唇を噛む。
美名ははにかんで頭を下げ、増本も笑いを溢している。
「美名……お前のそういうところが隙だらけなんだよ……」
だから一人にして置けないんだ、と苦い思いが過る。
二人が車に乗り込んで走り出すのを見届けると、綾波は後部席から静かに言った。
「あの車を追ってくれ」
運転手は頷き、タクシーを発進させた。

