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eyes to me~ 私を見て
第60章 歌姫の覚悟

志村や由清も異変に気付いた。
皆、いつの間にかちらちらと美名の方を見て何かを言い合っているのだ。
「……え――っウソでしょ」
「可愛い顔して……だよね」
その呟きを耳にして、由清が眉を寄せた。すると、隣の女性が熱心に読んでいる新聞に目がとまる。
由清は息を呑んだ。
「すみません……それ見せて下さい」
横から新聞を掴み、その内容に目を見開き、背中に冷たい物が流れる。
「号外――!号外です――!」
気が付けば手に新聞の束を持った何人かのメッセンジャーが竹下通りを号外の新聞を配って歩いている。
「し、志村さん!」
由清が新聞を手に志村に駆け寄る。
志村の顔が白くなり、掌で口を覆った。
「た……大変だわ」

