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eyes to me~ 私を見て
第60章 歌姫の覚悟

堺のスマホが鳴る。
「はい!……ペコチーフ?」
『堺ちゃん?……その場から美名さん達を連れ出して編集部に戻って来て』
いつになく緊迫した声だ。堺はただ事でない何かを感じ取る。
「何があったんですか」
『美名さんの写真とか……綾波君の記事がスポーツ紙の号外で出回ってて……ネットでも大騒ぎになってるわ……とにかく、早く戻って!』
「は、はい!」
堺はカメラを首に掛け、店の前に居る美名の所まで走っていく。
美名ははまじろうを見つめていて、全く異変に気付いていない様だった。
堺が美名の手を取った。
「撮影は終りです。この場から急いで離れますよ!」
いつも柔和な目が厳しい光をたたえている。美名は、堺に手を引かれるまま人混みを掻き分けた。

