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eyes to me~ 私を見て
第60章 歌姫の覚悟

「志村さん!由清君に真理君に……は、はまじろう……綾波さん!撤収しますよ!」
堺が声を張り上げた。志村は、由清と顔を見合わせて頷き合い、真理とはまじろうは掴み合ったままで周りを見た。
「な……なんだ?」
戸惑う真理に、由清が新聞を持たせてその手を引っ張る。
真理も驚愕して口を大きく開けた。
「な……んだよコレっ」
「皆さん、走りますよ!」
堺が美名を伴い通りの裏へと抜けた。
志村と由清、真理もそれに続く。
集まっていたギャラリーはどよめき、各々スマホや携帯で写真をまた撮り始めた。
「綾波さんも――早く!今から編集部に向かいます!」
堺が叫んだ。
綾波は、竹下通りのど真ん中で立ち尽くしている。
「つ、剛さん――」
美名も走りながら綾波を振り返った。
綾波はスポーツ紙を手にその場から動かない。
美名達の姿が見えなくなると、綾波は手の中の紙をクシャリと握り潰して唇を噛んだ。
紙面には見開きで大きな文字が踊っていた。
『人気新人バンドprinces &junkyの歌姫とマネージャーの醜聞』
『歌姫のスゴい男性遍歴』
『 マネージャーはかつて義母と不倫関係にあった男』

