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eyes to me~ 私を見て
第63章 片恋の終わり
 桃子は背中を向けたままで立ち止まる。

 由清は、口から出た言葉に我ながら驚く。

 が、もう取り消せない。

 桃子は、ゆっくりと振り返り、由清に優しい笑みを向けた。

 身体が強張り、桃子が眩しく見えて目を開けているのが辛くなる程だった。

 桃子の小さな唇が、少し動いたのを見届けると、堪らず目を瞑ってしまう。

 柔らかなシャンプーの香りが鼻腔を擽った。

 桃子が由清の身体を包む様に抱き締めている。

「うん……私も、アンソニーが好き」

「……桃子……ちゃん」

 由清が抱き締め返す前に、桃子は素早く腕の中から抜け出した。

 小走りに離れ、手の届かないところから見つめている。

「桃子ちゃん……」

 由清が一歩踏み出そうとした時、桃子は掠れた声で言った。

「世界で二番目に、アンソニーが好きだよ」

「……」

 桃子の目には涙が盛り上がる。唇は固く結ばれ、由清が近付くのを拒んでいた。

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