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eyes to me~ 私を見て
第64章 獣と獣の対決
 西野は、血が滴る手を増本に向けて伸ばし、一歩、二歩と近付いた。

「みっ……未菜」

 増本は、いつの間にかしゃくり上げている。

 西野が、その場に似つかわしくない清らかな笑みを浮かべる。

「どうして……増ちゃんが泣くの?……痛いのは……痛いのは私よ?」

「未菜……っ僕は……」

 身体を震わせる増本に、綾波は内心舌打ちしたくなった。

(おい……勘弁してくれよな……さっさと抱き締めてやればいいものを……

俺ならそうする……)

 ふと、美名の目映い笑顔と、風に揺れる長い髪を思い浮かべる。

『剛さん……大好き……』

 甘く、胸を擽る彼女の声が聞こえた様な気がした。

 綾波は、野次馬の中に報道記者たちを見つけ、眉をひそめる。

(――来たか……)

 パトカーのサイレンまで聞こえてきた。綾波は長い溜め息を吐いて天井を仰ぐ。

(すまん……美名……お前の所に向かうのに……少し時間が掛かるかも知れん……)

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