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eyes to me~ 私を見て
第64章 獣と獣の対決

真っ直ぐな前髪と、鋭さと優しさを併せ持つ瞳が脳裏に浮かんだ。目の奥が熱くなる。涙が溢れそうになる寸前、空を見上げて唇を真一文字に結んでこらえた。
(今は、泣いてる暇なんて、ない!)
「美名ちゃん、軽く"ロンリーガール"合わせようか?」
由清が言った。
「うん、そうだね……」
美名は精一杯の笑顔で返事をした。
由清がスティッキでカウントを始めた時、ステージの脇で担架の上に寝ていた真理の腕が唐突に突き出され、怪獣の雄叫びの様な欠伸が漏れた。
「……ブワアアアアア―――!よく寝た――っ」
「寝過ぎだろ!」
由清がスティッキを投げる。見事に真理の頭に命中した。
「ひぎ――っ!何だよ――っお前!優しさの欠片もねぇのか――!」
真理がスティッキを投げ返すと、由清もまたぶん投げる。
「優しさの欠片どころか、俺は丼一杯分の情けをお前にかけてたぞ!
今まで眠りを邪魔しなかっただろうっ?なんて優しいリーダーの俺!」
「ぎ――っ!ちいせえ!例えが小さすぎるぜ由清――っ
お前の優しさは丼一杯分だけなんかよ――っ!どうせなら、ドーム一杯とか――」
真理もまたスティッキを投げ返した。
「ちょっと……二人ともいい加減に」
美名が叱ろうとした時、ステージの袖でスタッフと智也、祐樹と堺とペコが、まるで言い争う様な声を出しているのが目に留まった。
三広や亮介も加わり、皆一様に険しい表情をしている。
何故か、喉の奥に得体の知れない嫌な味が広がり、身体が冷たくなって行った。
(今は、泣いてる暇なんて、ない!)
「美名ちゃん、軽く"ロンリーガール"合わせようか?」
由清が言った。
「うん、そうだね……」
美名は精一杯の笑顔で返事をした。
由清がスティッキでカウントを始めた時、ステージの脇で担架の上に寝ていた真理の腕が唐突に突き出され、怪獣の雄叫びの様な欠伸が漏れた。
「……ブワアアアアア―――!よく寝た――っ」
「寝過ぎだろ!」
由清がスティッキを投げる。見事に真理の頭に命中した。
「ひぎ――っ!何だよ――っお前!優しさの欠片もねぇのか――!」
真理がスティッキを投げ返すと、由清もまたぶん投げる。
「優しさの欠片どころか、俺は丼一杯分の情けをお前にかけてたぞ!
今まで眠りを邪魔しなかっただろうっ?なんて優しいリーダーの俺!」
「ぎ――っ!ちいせえ!例えが小さすぎるぜ由清――っ
お前の優しさは丼一杯分だけなんかよ――っ!どうせなら、ドーム一杯とか――」
真理もまたスティッキを投げ返した。
「ちょっと……二人ともいい加減に」
美名が叱ろうとした時、ステージの袖でスタッフと智也、祐樹と堺とペコが、まるで言い争う様な声を出しているのが目に留まった。
三広や亮介も加わり、皆一様に険しい表情をしている。
何故か、喉の奥に得体の知れない嫌な味が広がり、身体が冷たくなって行った。

