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第65章 castle in the air

　西野が目を大きく見開き、ガラスをぴたりと首筋に当て、窪みが出来るのを見た増本が、激しく身体を震わせて哀願した。

『わか……わかった！言う通りにするから……だから、止めてくれ！』

　増本は綾波にも涙目で頼んだ。

『お願いします……ここは、未菜の言う通りに……っ』

(全く……野郎に涙ながらにお願いされてもな……)

　綾波は諦めて頷いた。

　警察が、動かない筈がない。今に助けが来るだろう。

　智也がこの騒ぎを聞き付ければ、何かしらの対策を考える筈だ。

　下手に抵抗をするより、大人しく様子を見よう――