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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て

ペコは、堺の頭につかまり身体を起こした。
「岸さん、どうなさった……の?」
智也の目がミラーの中で鋭く光っている。その緊迫感にペコは口をつぐんだ。
智也はスマホを手にすると健人の番号を押して何十回か鳴らし、次に志村にかけてみるが、出ない。
祐樹にもかけたが、ライヴで盛り上がり聞こえないし気付かないのだろうか。やはり出ない。
「俺の取り越し苦労ならいいんだが……」
「岸さん、何があったんです?」
堺が身を乗り出す。
智也は、前方を睨みながら低く呟いた。
「西野未菜の……長年の狂信的なファンが、今日のライヴに対する脅迫メールやファックスを送っていた様です」
「――え?」
「そいつは、日比谷野音の正式なスタッフでした」
ペコは堺の首をつかみゆさぶった。
「な――!それってつまり……」
「ぐえ――苦し……チーっ何故!」
智也は、頭を振ってこめかみを押さえる。
「つまり、危険人物が、会場にいるという事です。しかも、誰にも怪しまれずに……」
「た、大変……!」
ペコと堺は蒼白になった。

