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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
美名は、パイプ椅子に倒れ込む様に座った。放心した様に天井のライトをぼんやり眺めている。
ミュージシャンとしてのほぼ全てを出しきったステージ。
達成感と、とてつもない疲労と、少し燻る胸の痛み。それらが交互に胸の中に現れては消え、また現れる。
「美名――っ」
真理、髑髏川と志村が飛んで来た。
志村は、ぐったりした美名の頭をそっと撫でて、頬擦りした。
「頑張った!本当に、頑張ったわねえ……っ!」
「志村さん……」
「美名ちゃん、今日、プリキーと同じステージに立てて本当に楽しかったよ!ありがとう!」
髑髏川が、細い目を更に細くして、美名の手を握った。
「美名っ……美名……ひ、ひひひ――っ」
真理は、いかつい顔を歪ませ、感極まり言葉が出ない様子だ。
「もうっ!シャキッとしなさい――!」
志村にまた尻をシバかれ、真理は「アウチ!」と絶叫した。