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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
「にっ西君が美名を苛めた――っ」
「爽やかな西君がっ!卑怯だっ!なんか卑怯だ!」
「そうだそうだ――!そのギャップに女子はヤラレちゃうんだよ――!」
「ギャ――!ムカツク――!」
髑髏川と真理が、すっとぼけて口笛を吹く祐樹を指差して騒いだ。
すると健人とマイカ、そして暗黒が血相を変えて走ってきた。
「お、お――い君達っ……てか、姫様っ!」
健人は明らかに慌ててテンパっている。
「……その呼び方は止めて」
美名の声が聞こえていないのか、健人は喋り続けた。
「最終決定権を持ってるラスボスの岸社長が居ないから~俺が決めなきゃなんだけどさ~!
姫様が実質上、今夜のステージの主役だし……姫様にご意見を御伺いに……て……ぐあ――っ」
「姫様って……呼ばれると……剛さんが恋しくなるから……止めてって言ってるの――!」
健人は、美名にアッパーカットを喰らい、倒れてのびてしまった。
「お、お兄ちゃんっ」
マイカが健人を抱き起こす。
暗黒はすっかり怯えて後ずさった。
「ちょっと~、貴方たち、何を遊んでるのよ……いい加減になさい!」
騒ぎを聞きつけてやって来た志村が呆れている。
マイカが、ハッと思い出した様に叫んだ。
「あ、あの!……ま、また、アンコールが起こってるんです!」
「ええっ!?」
「ダ……ダブルアンコールですって?」
その場にいた全員が息をのみ、志村が呆然とよろめいた。
そう言えば、大騒ぎの中で気づかなかったが、さざめきの様な拍手に乗せて、歌声が聞こえてくる。
美名は、耳に手を添え目を閉じて、震える唇で小さくメロディーを口ずさみ、その曲の名を呟いた。
「恋……する……cherry……soda……」