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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
二人が睨み合って居ると、小太りで人の良い人相の年配の男性が、作業着の胸ポケットから煙草の箱を出しながらやって来て、ニッコリ笑う。
「竹下さん、ご苦労様。あともう少しだから頑張ろうね?」
「佐藤さん!美名さんが入った控え室って何処でしたっけ?」
マイカは救いの神を見つけた様に目を輝かせ、聞いた。
「右へ行くんだよ?……高幡君が、今彼女を呼びに行ってると思うけど」
佐藤の言葉に、綾波は身体を強張らせる。
「高幡――!?」
思わず叫び、たまらず駆け出して行った。
「あ、兄貴――?」
「綾波さんっ」
健人とマイカの声が耳を掠めて行く。
蛇の様に曲りくねった通路を走る。部屋までの道のりがとてつもなく遠く感じた。
「美名……美名――!」