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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
桃子は、美名のバッグの中身を見てあっ、と声を上げた。
「お姉ちゃん、TシャツとGパンしか持ってきてないの?」
「うん」
「あああっ――!何かもうちょい可愛い服、持ってきておけば良かった――!」
桃子は悔しがる。
「いいじゃない……それで。動きやすいし」
「え――っでも」
「だったら、アレ着て出ようかな」
口を尖らせる桃子に、美名は部屋の壁に掛けてある、ピンクはまじろうスーツを指差してみせた。
「なななっ何馬鹿言ってんのよ――!」
美名は、桃子の手を握り、優しく笑った。
「今日はありがとう……桃子がここに来てくれて……凄く心強かった」
「お姉ちゃん……」
桃子は、目を潤ませた。
「後は自分でやるから……悪いけど、外で待っててくれる?」
美名の迷いの無い澄みきった表情に、桃子は何かを感じ取り、黙って頷いて出て行った。