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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
ミシミシ、という足音が近づいているのに気付き顔を上げると、先程の若いスタッフが目の前に立っていた。
(高幡、て人だっけ……な―――んか陰気で好きな感じじゃないなあ)
内心そんな事を思うが、とりあえず愛想笑いをつくる。
「……美名さんは?」
高幡は、低い声で聞いた。
「あ……今、準備をしてます」
高幡は、無表情のまま、控え室へ向かおうとまた歩き始めた。
「待って、今着替えてますから……」
桃子があわてて走り寄る。
高幡は急に振り向いて、桃子の鳩尾に拳を放った。
「な……んで……?」
桃子は、痛みに顔を歪めながら崩れ落ち、そのまま意識を手放した。
(お姉……ちゃん)
差し出された右手は、力を失い床に投げ出された。
高幡は冷えた眼差しを桃子に向けてから控え室を振り返り、ニヤリと笑った。