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eyes to me~ 私を見て
第66章 eyes to me~私を見て
つい先程には、心が張り裂けそうになりながら走ってた道程を、愛しい美名を腕の中に抱き締めながら走る。綾波の口元は知らぬ内に緩んでいた。
軽やかに、長いストライドを優雅に運ばせて素早く走る。
美名はしがみつきながら、彼の横顔に見とれていた。
ずっと会いたかった、触れたかった。
嬉しくて、温かい涙が溢れて来るけれど、これは夢では無いのか確かめたい、とも思う。
この手に掴んでいるぬくもりも、大好きな彼の香りも……
じっと見つめられているのを分かっていた綾波は、走る速度を落とさないまま、ニヤリと笑った。
「そんなに熱く見つめて、よほど早く抱かれたいのか」
美名は、その問いに小さく頷いて、綾波の胸に顔を埋めた。
軽口のつもりだったのに、美名の愛らしい仕草に心を深く撃ち抜かれてしまう。