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eyes to me~ 私を見て
第67章 エピローグ
「大丈夫か……」
「ら……らいりょ……ぶ……じゃ……ない……よ……バカっ!」
美名は、息絶え絶えながら、最後の"バカ"に力を込める。
「お前に体力が無いのを忘れてたな……」
美名は、綾波の胸を叩く。
「も……っ……五年分くらい……走らされ……ゲホッ……」
「よしよし……頑張ったな、偉いぞ」
綾波は、子供に言い聞かせる様に柔らかい笑顔を美名に向け、頭を撫でると周辺を見渡した。
「……かなり、走ったな……」
ひと駅分は走っただろうか。
夜の街は灯りに溢れ、名前も知らない人々は、自分の帰る場所、或いは行くべき場所へと向かって歩いている。
(俺の帰る場所は……)
綾波は、胸の中でまだ咳き込む美名の背中を擦った。