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eyes to me~ 私を見て
第15章 歌姫の妹
 街を歩けば人に当たるというか、ふらふらしていると誰かにぶつかりそうになる。
 皆急いでいて、人の流れが静岡の街並みとは全く違う。
 そして何処にでも出くわす行列。とにかく、あちこちに行列が発生する。
 初めの頃は、なんの行列なのかと気になり、並んでいる人に尋ねたりもしたけれど一ヶ月も過ぎると、何とも思わなくなった。
 そして、珍妙な出で立ちをしている人が居ても誰も気にしない。
 皆がそれぞれ好きに自由にしている。 
 東京で自分が何処まで行けるか試したかったけれど、最初の一年間は暮らしに慣れるので一杯だった。
 沢山の人達の中にズブズブと埋もれていく感覚しかなかった。
 けれど、翔大に会ったのもこの東京なのだ。

 ――私はしょう君を見つけて、しょう君も私を……

「も~!お姉ちゃん遅い!先に行くからね~!しょう君、お姉ちゃんをお願いします!」

 考え事をしながらノロノロと動く美名に、桃子はそう言い放ち駆け足で階段を上って行った。

「はあ……見捨てられた」

 手摺に掴まりうずくまる美名の肩を、翔大が包み込む様に抱いてきた。


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