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第18章 歌姫を愛でる獣、喘ぐ歌姫

｢何だ｣

　鋭く熱い瞳が、真っ直ぐに美名を見ている。
　その中に疚しい色は全く窺えない。

　――疚しい事があるのは私の方なんだ。
　昨日……しょう君に抱き締められて……キスされて……

　綾波の瞳が揺れた。

｢どうした……｣

　いつの間にか流れていた涙を、彼の大きな指がそっと拭う。

｢さ……寂しかった……の……｣

　――私はずるい。
　泣いて誤魔化して、しょう君の事を隠そうとしている。
　何故泣いているのか、悲しいのか分からない。

　しゃくりあげる美名を綾波がそっと抱き締めた。

｢すまなかったな……｣
｢う……うぐ……うえええ｣
｢よしよし……いい物をやるから喜べ｣

　ポン、と頭を叩くと、綾波は巨大な『バニっぴー』を美名に持たせた。

｢……？｣

　美名はバニっぴーを抱いて綾波を見た。