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eyes to me~ 私を見て
第19章 桃子とふたりの王子
「三広……!」

 亮介は、彼に手を差し伸べようとする。
 だが、その背中が全てを拒否しているのを悟ると、深く溜め息を吐いた。

「わかった……じゃあ、お先にな。桃子ちゃんを頼むよ……」

 亮介はリビングから出ていく時一度振り返り、口を歪ませてドアを閉めた。

「……ハアッ……ハアッ」

 三広は苦しげに胸を押さえて呻いた。
 動悸が速まり、目が回る。
 息を吸っても吸っても、空気が薄い様に感じるし、吐き気もすさまじい。

「うぐ……っ」

 キッチンのシンクに吐き出そうとするが、何も出てこない。
 例えようの無い痛みと悪心に涙が溢れた。
 不意に、背中に柔らかい優しい感触を覚える。
 規則的に、その感触は背中を撫でていた。
 三広はその感触に救いを見出だしながら、吐き気がおさまるまで耐えた。
 どの位経ったろうか。吐き気が引いて、身を起こすと、後ろで小さな溜め息が聞こえた。



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