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eyes to me~ 私を見て
第22章 百万本の花を、歌姫に
「……」

 翔大は二人が去った後、深呼吸して昂った身体の熱を逃そうとした。
 だが、目覚めた切ない淫らな欲はすぐには引きそうにない。

「……美名……」

 手に残る甘い温もりをいとおしげに思い起こす。
 焦ってはいけないと頭では理解しているのに、美名を前にすると、そんな理性や分別は跡形もなく吹っ飛ぶ。

(――このままでは美名を困らせるだけだ)

 だが、どうしたら自分は 美名を取り戻せるのか、と考えてしまう。
 今まで遠かった音楽の夢と、美名。
 ようやくこの手の届く処まで来た。
 どちらも欲しい。

(……両方手に入れてみせる。
 どんな手を使っても……)

 拳を固めた時、マーガレットのイヤリングが床に片方落ちているのを見つける。
 そっと拾い上げると、翔大は微かに口を歪ませて笑った。


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