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eyes to me~ 私を見て
第22章 百万本の花を、歌姫に
「遅くなりました!」
真理の手を握ったままで息を切らしスタジオに駆け込むと、皆がぽかんとした。
「あらまあ!いつの間に仲良しになったの?いい事ねえ!」
「ち、ちがわあ―!」
「お姉ちゃんっ!早く離れて離れて!性格の悪さが伝染っちゃう!」
「お、おまっお前!」
「真理……やっぱり、美名さんを気に入ったんだね……可愛いて言ってたもんなあ」
「ばっ……由清――!余計な事言うな――!」
次々と皆に言われて真理はムキになって怒鳴った。
「美名ちゃん、息を整えてから歌いましょうか?」
志村は、ピアノの鍵盤で指のウォーミングアップをするかのようにアルペジオを奏でた。
由清はドラムセットの前に腰かけ軽くスネアを叩く。
スタジオは演奏スペースだけでも二十帖以上はありそうだった。
モノトーンを基調としたシックなデザインは、志村の拘りだろうか。
エレキギターやエレキベース、アコースティックギターも一揃い置いてある。
見たこともないデザインだった。
それぞれ、黒と白で統一されて音符のモチーフが付いている。
「可愛い……」
美名は、思わず溜め息を吐いた。