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第27章 恋情のheart　beat

　美名は、靴も履かずに飛び出した。
　叫び声がどこからか聞こえる。

｢剛さん……剛さん！｣

　走っていたら、目の前に翔大がドサリと倒れてきた。

｢し、しょう君！？｣

　唇は切れて、顔にも痣が出来ている。
　思わず起こそうとすると、冷たい低い声が頭上で聞こえた。

｢……お前を犯そうとした奴に優しくする事はない｣

　見上げると、鬼神の如く瞳が真っ赤に燃えている綾波が立っていた。

｢つ、剛さ――｣

　翔大は綾波に胸ぐらを掴まれて、鳩尾に膝蹴りを何度も入れられている。

｢キャアッ｣

　思わず目を覆うと、志村に肩を叩かれた。

｢大丈夫？美名ちゃん｣
｢し、志村さん……綾波さんを止めなきゃ｣

　志村の後ろでは由清と真理、桃子が青い顔をしてこの有り様を見ていた。
　三広が向こうで泣きべそをかき右往左往している。