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eyes to me~ 私を見て
第29章 優しい獣の腕の中で
真理は、目を丸くして何かを言いかけ、頭を掻いて押し黙った。
(綾波と一緒じゃなかったのか?)
数秒の沈黙の後、「何してんだよ……早く部屋で寝ろよな」と声をかけ、ドアを開けるが、由清の姿がない。
(……居ない……どうしたんだ?まさか……志村のおっさんに捕まって生け贄になったんか?)
「真理君……」
「あ?な、なんだ?」
「部屋に……入れないの。どうしたらいいと思う?……スタジオでも行ってそこに居ようかな……」
真理の胸がバクンと動いた。
(今、部屋には誰も居ない……
美名を引き摺り込んで……)
そんな疚しい考えが頭に広がるが、振り切る様に唇を噛む。