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eyes to me~ 私を見て
第29章 優しい獣の腕の中で
息をするのさえ憚られる位に音の無い夜の静寂(しじま)の中、真理は美名を身体中で抱き締めていた。
「……ま……真理く」
「バカっ!お前は本当にバカだ!」
「う……」
「そんな風に泣きながら……外にフラフラ行ってもろくな事にならないぞ!放って置けるか!阿呆――!」
「……阿呆で……バカだよね私……」
腕の中で美名が震える。
「しょう君に言われた……はっきり拒否しない態度が……誘ってる……て……だから……きっと私が悪いんだ……っ」
真理が美名を離して両頬を手で包み、真剣に見つめた。
「お前は悪くない!」
「真理く……」
涙がブワッと溢れた。
「悪いわけないだろ――!」