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eyes to me~ 私を見て
第29章 優しい獣の腕の中で
「そろそろ戻るか?俺のところから出てくるのを見られたら面倒だろう」
「……う、うん……」
美名が明るくなった窓の外をチラリと見て、立ち上がりドアに手をかけた時、グイと引き寄せられた。
「ま……真理君」
後ろから腕で包まれ、肩に鼻先を埋められてくすぐったかった。
「いや、コソコソする事ねえよ。此処に居ろよ……」
「……っ」
「あ……いや、美名が良ければ、だぞ?」
美名は何も言えずに黙った。
真理の腕に力が籠る。
「俺は…………離したくない……」
「……っ」
「アイツ……」
「!」
美名の身体が震えた。
「綾波の所に……戻るか?」
腕を乱暴に掴み、激しく打ち付けてきた冷たい瞳が脳裏に過ると同時に、綾波がいつか耳元で呟いたあの言葉が突き刺さる。
『ほなみ……』
「――!」
(そうだ。私はこれからどうするのか。
今までの様に、綾波さんとマンションで暮らせるの?
私に向けられていたと信じていた笑顔も、囁かれた愛の言葉も、抱き締められて居た腕も、全部が表面だけの幻だったのに……)
「……う、うん……」
美名が明るくなった窓の外をチラリと見て、立ち上がりドアに手をかけた時、グイと引き寄せられた。
「ま……真理君」
後ろから腕で包まれ、肩に鼻先を埋められてくすぐったかった。
「いや、コソコソする事ねえよ。此処に居ろよ……」
「……っ」
「あ……いや、美名が良ければ、だぞ?」
美名は何も言えずに黙った。
真理の腕に力が籠る。
「俺は…………離したくない……」
「……っ」
「アイツ……」
「!」
美名の身体が震えた。
「綾波の所に……戻るか?」
腕を乱暴に掴み、激しく打ち付けてきた冷たい瞳が脳裏に過ると同時に、綾波がいつか耳元で呟いたあの言葉が突き刺さる。
『ほなみ……』
「――!」
(そうだ。私はこれからどうするのか。
今までの様に、綾波さんとマンションで暮らせるの?
私に向けられていたと信じていた笑顔も、囁かれた愛の言葉も、抱き締められて居た腕も、全部が表面だけの幻だったのに……)