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eyes to me~ 私を見て
第30章 さよなら、愛しい獣

だが、翔大が美名を今にも突き刺そうとしているのを目の当たりにし、強烈な殺意に支配されてしまった。
奴を殺すまで殴る事しか考えていなかった。
奴に身体の自由を奪われ、涙を浮かべる美名の表情は痛ましく、そしてゾクリとする位に美しかった。
あの顔を、奴に見せた事だけでも、許せないと思ってしまった……
『綾波さんなんて大嫌い!』
涙混じりの悲しい叫びが耳に残っている。
幾度も胸の中でこだまし、キリキリと身体中を抉り痛みを与える。
何故、追い掛ける事が出来なかった?
美名が、今まで囁かれた愛は総て嘘だと思い込んで居るのが分かっていたからか?
――女は思い込みが激しい。
一度こうと決めたら、思ったら猪突猛進にそれしか見ようとしない。
少なくとも今は俺が何を言おうと……
『誤解だ。ほなみの事はもう終わっている。
愛しているのは美名だけだ』
何度もそう叫んだ所で、美名には響かない。
「……口に出すと、何て陳腐なんだろうな」
綾波は美名への言い訳を一晩考えていた。だがどれもこれも言葉にすると総て嘘の様に薄く見えてしまう。
奴を殺すまで殴る事しか考えていなかった。
奴に身体の自由を奪われ、涙を浮かべる美名の表情は痛ましく、そしてゾクリとする位に美しかった。
あの顔を、奴に見せた事だけでも、許せないと思ってしまった……
『綾波さんなんて大嫌い!』
涙混じりの悲しい叫びが耳に残っている。
幾度も胸の中でこだまし、キリキリと身体中を抉り痛みを与える。
何故、追い掛ける事が出来なかった?
美名が、今まで囁かれた愛は総て嘘だと思い込んで居るのが分かっていたからか?
――女は思い込みが激しい。
一度こうと決めたら、思ったら猪突猛進にそれしか見ようとしない。
少なくとも今は俺が何を言おうと……
『誤解だ。ほなみの事はもう終わっている。
愛しているのは美名だけだ』
何度もそう叫んだ所で、美名には響かない。
「……口に出すと、何て陳腐なんだろうな」
綾波は美名への言い訳を一晩考えていた。だがどれもこれも言葉にすると総て嘘の様に薄く見えてしまう。

