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eyes to me~ 私を見て
第30章 さよなら、愛しい獣
綾波に会ったら、平静でいられるだろうか?
心に蓋をして、頑丈な鎧を纏って誤魔化そうとしても、柔らかい部分に触れられたら、たちまちそんな努力は虚しく崩れ、心が壊れてしまう。
ずるくても、卑怯でも、そんな自分を守ってくれる愛にすがりたい。
美名は、真理に心を渡す事を決めた。
バスルームから出ると、キッチンからいい匂いが漂い、弾むような桃子と三広のお喋りが聞こえてきた。
強く気持ちを持つと決めたのに、幸せそうな恋人達の声が、傷ついた心を深く抉る。
美名はキッチンから背を向け、真理の居る部屋に向かった。
真理の屈託ない日溜まりの様な腕に包まれて総てを忘れたい。
自分の爪先を見つめて歩いて居ると、部屋の前に見覚えのある靴が揃えてある。
胸が一気に騒ぎ出した。
「綾波……さん」
心に蓋をして、頑丈な鎧を纏って誤魔化そうとしても、柔らかい部分に触れられたら、たちまちそんな努力は虚しく崩れ、心が壊れてしまう。
ずるくても、卑怯でも、そんな自分を守ってくれる愛にすがりたい。
美名は、真理に心を渡す事を決めた。
バスルームから出ると、キッチンからいい匂いが漂い、弾むような桃子と三広のお喋りが聞こえてきた。
強く気持ちを持つと決めたのに、幸せそうな恋人達の声が、傷ついた心を深く抉る。
美名はキッチンから背を向け、真理の居る部屋に向かった。
真理の屈託ない日溜まりの様な腕に包まれて総てを忘れたい。
自分の爪先を見つめて歩いて居ると、部屋の前に見覚えのある靴が揃えてある。
胸が一気に騒ぎ出した。
「綾波……さん」