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eyes to me~ 私を見て
第30章 さよなら、愛しい獣
「てめえ……」
真理が凄むが、綾波は優雅な笑みでかわす。
「まあ、俺もそれなりに楽しませてもらった……
だがもうお前にくれてやる。
俺のお下がりだがな」
「――!」
切り裂かれる様な衝撃に、美名は震えた。
「この野郎っ」
真理が美名を離し、素早く殴りかかる。
綾波はひらりと避けて真理の拳を片手で受け止め、二人は暫し睨み合う。
いや、睨んでいるのは真理だけだった。
綾波は薄く笑っている。
その冷たい瞳が昨日の夜を思い出させて美名は堪えられなくなり、真理にしがみついた。
「美……美名?」
「真理君……もう、いいから……
私は……真理君が居れば、いいの……っ」
「美名……」
真理は綾波をキッと睨み、乱暴な仕草で手を振り払い、美名を抱き締めた。
美名は広く暖かい真理の胸に顔を埋めて、綾波を見ない様にした。